(前回の話の続きです)
■前回までのお話
道路の幅員は安全上4mは必要だ。
しかし幅員4m未満の道路沿いにも家が建ち並んでしまっている。
これらの土地が全て建築不可となると社会的影響が大きい。
さて、この問題をどう解決するのか…
というのが前回のお話でした。
■さて、解答は…
頭のいい人というのはいるものです。
この問題を解決する方法を考えました。
それは
道路の中心線から2mまでの部分を道路として扱う
というものです。
図をご覧ください。
図のピンク色の部分は道路として扱われます。
ですから住宅を再建築する際は、ここまで後退して家を建てるのです。
お向かいさんも後退する。お隣さんも後退する。
これを繰り返していけば、いつかは、幅員4mの道路ができることになります。
(それにしても全部が再建築するというのは、いったいいつのことでしょう?サグラダファミリア並みの遠大な計画です)
■容積率の計算にも算入できない
後退することをセットバックと言います。
図のピンク色の部分がセットバックです。
セットバック部分は(自分の土地であっても)道路扱いされます。
この部分は建築できないのはもちろんのこと、以前ご説明した容積率の計算の際にも算入することはできません。
■広告にも表記する
みなさんが土地を購入する際、セットバック部分が必要だとしたらどう思います?
150㎡の土地を買ったつもり20㎡セットバックしなければならない。
もし、そうなら最初に言って欲しいですよね。
ということで、業界のルールではセットバックがある場合には広告に明示することを義務付けています。
さらに、セットバック部分の面積が敷地面積の10%以上を占める場合には、その面積も表示する、というのがルールです(*1)
■2項道路
なお、幅員4未満の道路の全てがセットバックさえすれば建築が認められるわけではありません。
行政が認めた道路だけです。
幅員4m未満ですがセットバックすることにより建築が認められる道路を「2項道路」と呼んでいます(*2)。
。
■まとめ
1間道路、つまり幅員約1.8mの狭い道路でも、2項道路であればセットバックすることにより、住宅の建築が認められます。
前回、写真でご紹介した、一部が後退している道路。
こういうわけがあったのですね。
*1 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第9条第5号
*2 道路中心線から2mまでを道路とみなす、ということが建築基準法第42条第2項に規定されているからです
なお、2項道路とセットバックについての詳しい説明は「スッキリわかる宅建」PARTⅡCASE3を参照して下さい。
まずは写真をご覧ください。
こういう形状の道路、見たことないですかね?
← 道路の一部分だけが広がっています。
なんでこんな形をしているのでしょう?
こういうのもありますよね。
← 道路の幅が途中から狭くなっています。
近づいてみます。
←ほら、途中から狭くなっているでしょう?。
なんでこんな中途半端なことをするのでしょう?
実はちゃんとした理由があるのです。
ところで・・・
昔の長さ基準は1間≒1.818mだったという話、覚えているでしょうか?
そのため昔からある道路は幅員が2間(約3.6m)、1間半(約2.7m)というものが多いです。
中には1間道路なんていうのもあります。
つまり幅員約1.8mです。かなり狭いですよね。
昭和25年に制定された建築基準法では、道路幅員は4mを基準としています(*1)。
車が通行することも考えると幅員は最低でも4mは必要だろう、というわけです。
道路が狭いと危ないですからね。
以前ご説明した、道路に間口2m以上接している必要がある
というルールと合わせて考えると
幅4m以上の道路に2m以上接していない土地には建物の建築が認められない、
ということになります(*2)
とすると昔からある幅員3.6mの道路の沿道には建物の建築ができない、
ということになってしまいます。
既にある建物を取り壊せ、とまでは言われないにしても再建築ができないのです。
しかし、昔からある道路沿いには家が建ち並んでいます。
これらの敷地に建築が認められないとなると、あまりにも影響が大きいですよね。
そうは言っても、狭い幅員の道路では安全性、利便性が確保できません。
どうしたものでしょう?
みなさんも考えてみて下さい。
答えは次回に。ヒントは冒頭の写真です。
*1 地域によっては6mが基準となります。
*2 建築基準法第42条、第43条
本日、宅建試験の合格発表がありました。
拙著「スッキリわかる宅建」で勉強された方々の結果が気になるところです。
皆さん合格してくれたかなー。
◆◆◆
合格点は36点。
出題ミスにより1問全員正解があったことを考えても高いですよね。
昨年も36点だったので2年連続ということになります。
それにしても、国家試験で合格ラインが36点というのはいかがなものかと思いますよ。
7割取っても合格できないんですから。
これでは実力だけでなく、運も影響してきてしまいます。
採用試験ではないのですから、一定点数たとえば7割(35点)以上取れば全員合格とするのもひとつの考え方だと思うのですがねぇ。
そんなことを言っても当面は変わらないでしょうから、宅建試験に合格したいと思う人は努力を続けるしかありません。
◆◆◆
今年、合格された方、本当におめでとうございました。
試験勉強を通じて得られた知識を活用して、実務でご活躍されることをお祈り申し上げます。
残念な結果に終わった方。
ここであきらめてはダメです。
試験はその人にふさわしいタイミングで合格します。
今年一生懸命やっても不合格だったとすれば、それは
「もう1年頑張ってもっとしっかり勉強しろ。その方が大成するゾ」
と試験のカミサマが言っているということ。
(合格してしまうとすっかり知識を忘れてしまう人がなんと多いことか)。
長い人生、1年の差は大した問題ではありません。
結果が出るまで努力を続ける。それが結果を出す唯一の方法です。
頑張りましょう!
土地は財産ですから、自由に分割することができます。
例えば、土地の一部を売る、兄弟で分割して相続する、といった理由で分割されます。
土地を分割する場合、下図のような形状になることが多いです。
Aの土地の通路を確保するためです。
ちなみにAの土地の形状を路地状敷地といいます。
敷地が延びているので、敷地延長、略してシキエンと言ったり、旗竿地と呼ぶ人もいます。
この路地の部分、つまり通路の幅が2m以上なければ、
Aの土地に建物を建築することができません(*1)。
幅2m以上ないと建築確認がおりないのです。
なぜだかわかります?
消防車が通るため(!)というのがその答えです。
日本は木造住宅が多いため、火災の際の延焼を防ぐ必要があります。
そのため災害時の避難路確保や緊急車両通行のために
道路(*2)に幅2m以上接していることが必要とされるのです。
ところがこの通路の幅が1.8mしかない、という土地も多いのです。
その理由が前回、ご説明した間(けん)です。
昔は1間≒1.818mが長さの基準でした。
そのため昔、分割した土地の路地部分は幅1.8mが多いのです。
このままでは建築できません。
隣地を買収するなどして、2m以上の間口を確保する必要があります。
つまり、
路地状敷地の購入にあたっては接道幅に注意が必要
です。
昔の長さの単位と思っていた間(けん)。これが出てくることはまだあります。
が、そのお話はまた別の機会に。
*1 都市計画区域内、準都市計画区域内の話です。また、例外もあります(建築基準法43条ただし書き)
*2 正確には「建築基準法上の道路に」接していなければなりません。